『まおちゃんのうまれたひ』によせて
あかちゃんをうでに抱くとき、いつもふしぎな思いに満たされます。はるかな世界から、どこでもないここをめざしてやってきてくれた、ひかりかがやく小さないのち! このいのちは無防備に見えて、じつはしなやかな力に満ちています。そう、あかちゃんは、木や草や他の生き物たちとおなじ、大自然の一部なのです、太古のむかしから次代次代へとうけついで、いまここに届いた小さないのちは、地球の未来の希望そのものです。
著者紹介
<さく> 神沢利子
1924年、福岡県に生まれ、樺太で幼少期を過ごす。文化学院文学部卒業後、詩、童謡、絵本、童話、長編、と幅広い分野で活躍している。「いないいないばあや」で日本児童文学者協会賞を、「タランの白鳥」で産経児童出版文化賞大賞を、「おめでとうがいっぱい」で日本童謡賞受賞のほか、路傍の石賞、モービル児童文学賞などを受賞。絵本に「ゆうちゃんのゆうは?」「たまごのあかちゃん」、童話に「くまの子ウーフ」「ふらいぱんじいさん」「くまのこまこちゃん」「まこちゃんともりのおくりもの」、子どものための詩の本に「おやすみなさいまたあした」「おめでとうがいっぱい」など多数の作品がある。
<え> 加藤チャコ
1963年、仙台に生まれる。米ボストンミュージアムスクール卒業。メルボルン大学芸術学部修士課程修了。92~93年仏政府給費生としてパリに滞在。2000年ニュージーランドのワンガヌイ工科大学客員芸術家として活動。現在はオーストラリアのメルボルンで現代美術家、絵本作家として活動している。絵本に「おおきなカエル ティダリク」「どこいったの」「このこだあれ」(こどものとも 福音館書店)などがある。メルボルン郊外ダンデノン山で、8歳の娘と、まもなく1歳になる息子、夫、猫、鶏、うずらたちと暮らしている。