『まじょのデイジー』によせて
雨や曇りで薄暗い日はどこか気分も重くなります。でも、空をおおう雲が突然途切れ、あたたかい太陽の光が射しはじめると嘘のように晴れやかな気持ちになります。一瞬にして、世界は明るくて、希望に満ちていて、なんだか楽しいことが起こりそうな気がしてくるのです。その瞬間、まるで魔法のようだ!と思います。 だから、難しい呪文を唱えなくても魔法は起こるのではないかと思ったりします。じつは、魔法というものは僕たちみんなが持っているものではないでしょうか。
今回、魔女の絵本を作らせていただきました。楽しくてわくわくする魔女たちの世界の中に、僕たちの身近に存在する「魔法」を描いてみたいと思いました。
デイジーとズズーに起きた、ささやかだけれどやさしくて素敵な魔法を、この絵本で感じてくれたらうれしいです。
著者紹介
<作> 植田真
1973年静岡生まれ。『イラストレーション』誌「ザ・チョイス」1998年度・大賞受賞。絵本、装画、挿絵、CDジャケット、広告の仕事など、幅広く活躍している。自作の絵本に『スケッチブック』(ゴブリン書房)『マーガレットとクリスマスのおくりもの』(あかね書房)、挿絵に『雨ふりマウス』(竹下文子・文 アリス館)『絵描きの植田さん』(いしいしんじ・作 ポプラ社)『わたしのおじさん』(湯本香樹実・著 偕成社)『りゅうの目のなみだ』(浜田廣介・作 集英社)『トトンぎつね』(今江祥智・文 フェリシモ出版)、装画に『号泣する準備はできていた』(江國香織・著 新潮社)などがある。http://www.silentphase.com/